股関節滑膜性骨軟骨腫症
What is synovial osteochondromatosis ?
股関節滑膜性骨軟骨腫症は、関節の滑膜に起因する現象です。滑膜の細胞が異常増殖し、骨軟骨を作り出すことによって発症します。これは、特に大人の膝関節や肩関節に発生することが多く、この病気は良性ですが、進行すると関節の動きを妨げたり、痛みを引き起こしたりすることがあります。
疫学
滑膜性骨軟骨腫症は比較的まれな病気で、主に30〜50代の成人に発生しますが、子供にも見られることがあります。男女比では男性にやや多く発生するとされています。
分類
滑膜性骨軟骨腫症は以下の2種類に分類されます:
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一次性滑膜性骨軟骨腫症
原因が不明で、滑膜自体の異常によって腫瘍が発生します。 -
二次性滑膜性骨軟骨腫症
外傷や変形性関節症(OA)など、他の関節疾患に続発して発生します。
診断の仕方
滑膜性骨軟骨腫症の診断は、以下のプロセスで進められます:
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問診と身体診察
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股関節の痛みや動きの制限が主な症状です。
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関節の「引っかかり感」や動きの際の音(クリック音)があることもあります。
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画像検査
診断には以下の画像検査が有効です:-
X線検査:石灰化した腫瘍が関節内に見えることがあります。
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MRI検査:腫瘍の大きさや滑膜の状態を詳しく確認できます。
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CT検査:骨や石灰化部分の詳細を確認する際に使用されます。
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治療方法
治療方法は症状や腫瘍の進行具合によって異なります:
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保存療法
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痛み止めや消炎剤で症状を和らげます。
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関節の負担を減らすためのリハビリテーションを行う場合があります。
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手術療法
症状が重い場合や保存療法で改善しない場合は手術が検討されます。手術には以下の方法があります-
開放手術:関節全体を確認しながら腫瘍を徹底的に除去します。
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関節鏡視下手術:小さな切開を通して腫瘍を取り除く方法で、侵襲が少ないため回復が早いです。
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当院では関節鏡視下手術を35例に行い 再発が2例、 と成績が比較的良好です。
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リスクとしては OAへと進行する可能性があります。
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予後
滑膜性骨軟骨腫症は、適切な治療を受ければ予後は良好です。しかし、この疾患では関節唇損傷や**インピンジメント(骨同士の衝突による痛みや障害)**がほぼ100%の確率で合併します。これを放置すると軟骨がさらに損傷し、やがて変形性股関節症(OA)へ進行するリスクがあります。早期診断と適切な治療が非常に重要です。
股関節に不調を感じた場合は、早めに整形外科医に相談することをおすすめします。特にスポーツ整形外科医はこのような疾患に詳しい専門家ですので、最善の治療を受けることができます。